BABYMETALへの楽曲提供をはじめとした作詞・作曲家のほか、バンドマン、DJ、ボカロPと多くの顔を持つクリエイターの “ゆよゆっぺ” 。これまでに彼はアイドルソングからロック、メタル、EDMなど実に多彩なジャンルの作品を発表している。今回、TuneGate編集部はゆよゆっぺを直撃取材。作曲で愛用するというNative Instrumentsの音源/エフェクト集「KOMPLETE」について話を聞かせてもらった。多くのプロミュージシャンが口を揃えて “持っていて絶対に損はしない” と語る「KOMPLETE」を、ゆよゆっぺはどのように活用しているのだろうか? トラックメイカー必見のインタビューだ!
ゆよゆっぺ:僕はもともと、自作Windowsマシンを使っていたんですけど、DAWソフトやパソコンが大きく進化して、周囲がノートPC環境になっていったんですね。そういった中で昨年、アルバム『ゆとりだから本気になれない』を作った時に、どうにかして自宅でミックスをやりたいと言ったら、エンジニアさんがMacBookを持ってきて。「これ1台でやれるんですか?」って聞いたら、「楽勝です」って言われて、驚いたんです(笑)。その言葉を信じてMacBook Proを買って、今の環境になりました。それが一ヶ月ちょっと前の話なんですが、ノート環境にしたことで、Native Instruments製品の優秀さが、より実感できました。
──では、KOMPLETEの中で、お気に入りのプラグインを教えてください。
ゆよゆっぺ:多くのクリエイターは、「MASSIVE(バーチャル・アナログ・シンセ)」や「KONTAKT(サンプラー)」のライブラリーを取り上げるでしょうけど、僕はあえて、「EVOLVE」をオススメします。サウンド・カテゴリーが5つに分かれていて、そこで鍵盤を押すだけで、とてもカッコいいループが手軽に作れるんです。打ち込みの人でも、生音で音楽を作っている人でも、「あまり目立たず、でもバックを何かの音で埋めたい」っていう共通の悩みがあって、これって“クリエイターあるある”だと思うんですが、そんな時に「EVOLVE」を立ち上げれば、これでもう“勝ち”なんですよ(笑)。

──初心者でも簡単に活用できそうですね。
ゆよゆっぺ:DAWのピアノ・ロール画面で、適当な鍵盤に全音符を打ち込むだけですから。僕が特に気に入っているのは、RHYTHMIC SUITESカテゴリーのElectro Techです。もし、「他のクリエイターと被ってしまわない?」と思うなら、4分音符とかで、適当にノートをバラバラにして打ち込めば、もうそれはオリジナルのループです。ビギナーでも、適当に鍵盤を押すだけで“勝ち”のループが鳴らせるし、突き詰めようと思えば、どこまでも突き詰められる。素人にも玄人にも優しい、質の高いプラグインです。もっと激しいループが欲しければ、「DAMAGE」がオススメ。これもよく使っています。

──思い付いたギターリフのバックでこんなループを鳴らせば、リフをより一層、カッコよく聴かせられますね。昨年12月に開催された《ミュージック・ギア・フェス2016》でのセミナー「ゆよゆっぺがKOMPLETEを使って8小節をカッコ良くする方法」でも、そういったノウハウをレクチャーしたのですか?
ゆよゆっぺ:そのレクチャーでは、Guitar Rigを使って8小節のギター・フレーズを録って、それにループやシンセを重ねてカッコよくしてく手法を紹介しました。その時に使ったのが、最近ハマっているサスペンス・インストゥルメント「RISE&HIT」です。
──このプラグインは、どういったものなのですか?
ゆよゆっぺ:これも鍵盤を押すだけで、簡単に、カッコいい「シューン、ドカン!」を作れるんですよ。人間の本能として、だんだん音が大きくなっていって、インパクトのある音が鳴ると、そこに反応するんです。EDMはその典型で、音の“上げ下げ”で盛り上げていく音楽。だから、これも“クリエイターあるある”で、いい「シューン!」と、カッコいい「ドカン!」を作れたら、やっぱり“勝ち”なんですね(笑)。そんな、盛り上げていく音(ライズ)とインパクトのある音(ヒット)のサンプルが、「RISE&HIT」にはたくさん入っています。しかも、テンポに同期してくれるので、盛り上がっていく時間(ライズ・タイム)を、拍数で設定できるんです。これだけで、サイエンス番組のジングルを、すぐに作れます(笑)。これだけで、自分ならではの“絵”が描けるんです。

──最近はKOMPLETE KONTROL Sシリーズもお使いだそうですが、印象はいかがですか?
ゆよゆっぺ:何よりも、まずデザインがオシャレ! しかも、すごく便利。実はKOMPLETEを使っていて、唯一、「キー・スイッチがもっと分かりやすかったらいいのにな」と思っていたんです。それがKOMPLETE KONTROL Sを使えば、鍵盤上部のLEDでキー・スイッチがどこなのかひと目で分かって、作業がとてもスピーディになりました。だから、鍵盤が弾けない人でも、KOMPLETE KONTROL Sシリーズはすごくオススメです。2つのタッチ・ストリップも、とてもオシャレで実用的。ギターのチョーキングやビブラートのような感覚で、ホイールでは難しかった微妙なビブラートがかけられるようになりました。しかも指を離すと、ちゃんと「元に戻る」感覚でLEDが消えていくんですよ。普通、オシャレな物って、人間味を排除していくじゃないですか。でも、KOMPLETE KONTROL Sシリーズは、そこを両立させているし、「オシャレは必要ない。実用性が第一」という方でも、実際に使ってみれば、とても実用的なデザインだと分かるはずです。そのあたりが、Native Instruments製品に共通した、「初心者でも簡単にいじれるけど、玄人にも使いやすい」という魅力だと思います。

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