2019/04/27
典型的なバンド編成の中でとくに音作りに気を使うのがギターというパート。
中音域を担う目立ちやすいパートの貴方のギターの音で
もしかすると観客を不快にさせているかもしれません。
アンプ
主に日本のライブハウスやスタジオではマーシャルかRoland JC120が置いています。
ギターにおいての音作りは永遠のテーマであり、
日々頭を悩ませているかと思います。
余談ではありますが、日本では当たり前になっているマーシャルとJC120というアンプの組み合わせ、
これ実は日本だけなんです。
海外ではマーシャルは置いてあっても、JC120が置いてある風景はほとんど見られません。
しかもマーシャルは必ず上下分かれたスタックアンプという訳ではなく、コンボアンプの場合も多々あり。
日本ではリハーサルスタジオと呼ばれたりしていますが、
英語圏では「Jamming studio」と呼ばれていますので検索してみると海外のスタジオ状況等を見る事ができます。
低域と中高域で音の進む方向が違う?
中域高域では音は真っ直ぐ進んでいきます。
ただ実は低域は指向性がないので人間はどこから鳴っているのか分かりません。
そんな事ないんじゃない?と思う方もいますよね。
低音の鳴っている方向が分かる場合、
それは「他の高域の音と一緒に鳴っている」からどこから音が出てきているのか分かるのです。
なのでテレビのオーディオ環境を整える場合、
~サラウンドと言って色んな場所にスピーカーを置いたりしますが、
低音が出るウーハーは部屋のどこに置いてもいいんです。
低音はどこから鳴ってるか分からないし、中高域が鳴っている方向から音が鳴っているかのように聴こえますからね。
指向性から考えるバンドアンサンブル
中高域は指向性があり、低域は指向性が無い。
これはバンドアンサンブルでも同じ事が言えます。
アンサンブル内のベース
ベース単体で鳴らしていれば、ベースには中高域も含まれるのでベーシストの方から音が聴こえてきます。
ただバンドで鳴らしてアンサンブルに溶け込んだ場合、
ベースの低域はベーシストの方からは聴こえてきません。
バンドから聴こえてきます。
低域は他の中高域が鳴っている方向から聴こえてきますから。
アンサンブル内のギター
これはギターも同じ。
ギターは中域の楽器なので指向性があります。
なので左右でステレオ感を演出したりもできるのですが、
ここでいくらギターが低音を上げて刻んでも、
バンドアンサンブルになるとギターの低音はギタリストからは聴こえてきません。
主に100Hz辺りからの下の帯域の音は、
バンド全体からベースやドラムのキックの低音と一緒に団子になって聴こえてきます。
海外のハードコア系のギタリスト等もインタビューで答えているように、ギターアンプの低域ノブはあまり上げても意味がない。
バンドアンサンブルに置いての音の重さ、ラウドさは、
使うアンプ・音色・キックやベースとの組み合わせ等によって成り立つと言えます。
ギターの音が痛い理由。家とスタジオで音が違う理由
本題に入りますが、よくギタリストがやりがちな悪いセッティングの仕方、それは
立ってアンプを操作している
という事。
なんだか変な精神論みたいにも聞こえてしまいかねませんが、ギターアンプにおいて立ってセッティングをするというのは耳栓をしながら音作りをしているようなもの。
スタジオやライブハウスで置いてあるようなアンプは前述のとおり、
JC120のスピーカーは膝くらいの高さ
マーシャルのスピーカーは腰くらいの高さ
しかありません。
今回の記事を見ているとすでにピンと来ている方はいるかと思います。
ギターの音には指向性がありますので、アンプの音はスピーカーから真っ直ぐ飛んでいきます。
なので、
アンプ前で立って操作している耳の位置からはギターアンプから出ている音は全く聴けていない
という事。
とくに指向性のある高域に行く程、立っているその位置からは聴こえませんし、指向性のない低域にかけて徐々に聴こえてくるようになりますので、
結果本来のギターアンプから出ている音よりも非常にモコモコと篭った音が聴こえてきます。
リスナーが聴いているギターの音
それではギターアンプのスピーカーのどこのポジションからの音を皆が聴いているかというと、
当たり前ですがギターアンプの真正面からの本来の音です。
ステージ上は少し観客席より高くなっているので、アンプ自体の高さも観客の耳の高さに近づきますし、
PAに通す為のマイクもスピーカーの前面に設置します。
ギターのレコーディングもアンプのスピーカーの前で、
マイクの位置『マイキング』には非常に神経を使います。
少しの位置を変更しただけでも録れるギターの音は全く変わってしまうので、
それだけ指向性のあるギターにおいてのリスニングポジションというのは大事だという事。
と言う事はアンプシュミレーター等で作れるギターの音も、
前記のようにもちろんギターアンプのスピーカーの前面で神経尖らせてマイキングの位置調整した音なので、
家で自分で音作り等したアンプシミュレーターの音も、ギターアンプのスピーカーの真正面から聴こえてくる音と言えます。
もし家で音作りしたセッティングのままスタジオに行っても、
立ってセッティングしているとしたら、
「あれ?思った音と違う…?」
と首をかしげる事になります。
立ったままセッティングしていると…
このような状態で音作りをしてライブ等をするのは非常に危険です。
何故ならアンプの前で立ちながら聴いた非常にモコモコしたアンプの音を、そのリスニングポジションのままギタリストが良いと思う音作りにするという事は、
アンプの真正面から出ている音は非常に鋭利でハイの痛いギラギラとした音になってしまうから。
実際観客が聴いているのはこの超痛いギターの音になってしまうので、
文字通りギターが凶器になってしまうわけ。
観客の耳を殺しにかかっているのであれば良いかもしれません。
対策
対策方法は簡単です。
しゃがんでスピーカーの位置に耳を下ろせばいいだけ。
耳の高さをスピーカーの位置と同じにする事で、自分の思っている音をリスナーと共有する事ができます。
自分が痛いと思うような音にはセッティングしませんよね(笑)
セッティングしている様子を見ていると音作りが本当に上手い人はちゃんと耳を下げています。
こういった事象をこじらせた一つの例として、
「アンプの真正面から聴くと音が痛いから、正面で聴いたり音作りしたくない」
というギターさんがいます。
色々突っ込みどころが多いというか…最初から正面で音作りしていれば音も痛くないですし、
その『音が痛くて不快な音』を観客に聴かせている訳です。
もちろんベースにも中高域が含まれていますので、
スピーカーの位置に耳を持っていくのは重要と言えます。
アンプの設定をいじる方、
耳の位置には気をつけましょうね。